さいしょに結論
- 最初の3行: 「誰に」「何をしてほしいか」「必ず残したい事実」を、AIへ送る前に自分の言葉で書く。
- うまくいかない理由: 「いい感じ」は人によって違う。文章が流暢でも、相手や目的を取り違えれば使いにくい。
- 最後にすること: 出てきた文章の事実、名前、数字、言いすぎた表現を自分で確認する。
目次
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さっき、お昼どうするって聞かれて「何でもいい」って返したんだけど。
何でもよかったんですか?
いや、辛いのはちょっと。あと、時間もなかった。
けっこう条件がありますね。
言ってから気づいた。結局、うどんにしたよ。
その二つ、先に言えばよかったですね。
うん。AIに「いい感じに書いて」って頼むときも、後から注文を足してるな。
どんな注文が後から出ます?
相手は誰とか、何を省きたいとか。
じゃあ、そこを先に書くと直しやすそうです。
最初にどのくらい書けばいい?
まずは三行で試してみましょう。
「いい感じ」だけでは何が足りない?
AIが作った文章を読んで、「きれいだけど、そのまま送れない」と感じることがあります。文法の問題ではなく、こちらが伝えていない条件があるからです。
たとえば、打ち合わせの日程を変えたいメール。「丁寧なメールを書いて」とだけ頼んでも、相手が社内の同僚なのか、初めて連絡する取引先なのか、相手へのお願いは何かが分かりません。文章は整っていても、必要な事実が抜けたり、丁寧すぎたりします。
以前のKeylogでは、タイピングが安定するとAIへの指示も具体的に書きやすくなると触れました。ここから一歩進めて考えたいのは、打つ前に何を決めるかです。長い指示文を作る必要はありません。最初の三行だけで十分な場面があります。

依頼前の3行メモを書く
次の三つを、箇条書きで書きます。紙でも、PCのメモでも構いません。
この三行があれば、AIに「丁寧に」と頼むときも、丁寧さのために肝心な用件がぼやけるのを防ぎやすくなります。
書く順番にも意味があります。まず相手を決めれば、敬語の強さや説明が必要な範囲を考えられます。次に相手へ求める行動を決めれば、文章の終わりが「よろしくお願いします」だけで曖昧になりません。最後に変えてはいけない事実を置くと、AIの下書きが自然な文章に見えても、内容を照合できます。
実際の依頼文は、たとえば次の程度で始められます。
次の3行をもとに、短い日程変更メールの下書きを作ってください。相手が返事をしやすいよう、お願いは一つにしてください。未確認の事情は足さないでください。
相手:先方の担当者
目的:木曜から金曜へ変更できるか返事をもらう
事実:木曜は参加できない。金曜の午後なら参加できる
ここでの曜日は書き方の例です。実際のメールでは日付と時刻も入れ、曜日との食い違いを自分で確かめてください。
三行は、メール以外にも使えます。たとえばKeylogの記事を相談するなら、「相手:キーボードを初めて買う人」「目的:静かさを選ぶときの確認点を知ってもらう」「事実:この製品は実機を試していない」と書けます。この場合、AIが臨場感のある使用感を書いてきても、そのまま採用できません。三行目が、書いてよいことの境界になります。
同じメールで比べてみる
「いい感じに書いて」だけの場合、出力を見てから「もっと短く」「取引先向けに」「金曜午後を入れて」と何度も追加することがあります。最初に三行を書けば、追加のお願いが必ずゼロになるわけではありません。それでも、修正の理由を自分で説明しやすくなるのが利点です。
たとえば、AIが「急な家庭の事情で」と書いたら、その理由は三行にありません。削るべきだと判断できます。AIが「金曜日は終日可能です」と書いたら、三行の事実と違います。午後に直せます。
三行メモは、AIをうまく動かす秘密の言葉ではありません。自分の依頼が何から外れてはいけないかを確認する、小さなチェック表です。
きれいな文章だと、つい合ってる気がするんだよね。
そこはありますね。最初の三行と比べると、違うところに気づきやすいです。
「終日大丈夫」って書かれたら、僕なら見落としそう。
午後だけ、という条件は残したいですね。

AIの文章をどこまで直す?
読みやすい文章でも、送信前に四つは確認します。
1. 事実: 書いていない理由や約束が足されていないか。
2. 名前と数字: 相手の名前、日付、時刻、金額は正しいか。
3. 依頼: 相手が何を返せばよいか、一読で分かるか。
4. 自分の言い方: 普段の自分や組織の文面から離れすぎていないか。
特に仕事の文章では、相手との関係や社内の決まりをAIがすべて知っているわけではありません。機密情報や個人情報を入力する前には、利用するサービスと職場のルールも確認します。
AIの下書きを一から書き直す必要もありません。目的に合っていて事実が正しければ、少し短くするだけで送れることもあります。逆に、条件が違えば、流暢な文でも使わない判断が必要です。
三行では足りない場面もあります。謝罪、契約条件、長い資料の要約など、相手との関係や誤解されたくない点が多い文章です。そのときは「入れないこと」「形式」「確認が必要な箇所」を一つずつ足します。最初から複雑な指示文を作るより、三行で下書きを見て、足りなかった条件を特定するほうが分かりやすい場合があります。
たとえば日程変更メールに「変更理由はまだ相手に伝えない」という条件があるなら、依頼文へ明記します。AIが理由を補った文章は使わず、必要なら理由を含まない文を作り直します。自分でもまだ決めていないことを、AIが代わりに決めたような文章になっていないかを見てください。
これはキーボードの話から離れているようで、実は日々の入力に直結します。タイピングが速くても、依頼の目的が曖昧なら往復が増えます。短い三行を自分で打つことが、その後の書き直しを減らす助けになります。

よくある質問
依頼は長く詳しいほどよいですか?
長さだけでは決まりません。相手、目的、事実が短く伝われば十分な場面もあります。複雑な文章なら、形式や避けたい表現を追加していきます。
AIに文章を任せるなら、三行も自分で書く必要がありますか?
完成文を書く必要はありません。ただ、相手に何をしてほしいかと、変えてはいけない事実は、依頼する側が決める必要があります。そこを曖昧にしたままでは、出力を評価する基準も曖昧になります。
三行が思いつかないときは?
まず「相手に何をしてほしいか」だけ書きます。それも決まらない場合は、文章作成を頼む前に、考えを整理する相談から始める方法があります。
おわりに
AIへの依頼を上達させようとすると、つい特別な言葉を探したくなります。けれど、最初に必要なのは、自分の用件をはっきりさせることです。「誰に」「何をしてほしいか」「必ず残したい事実」。この三行を書いてから下書きを頼み、最後は自分で確認する。その順番なら、AIの文章を使うかどうかも判断しやすくなります。
僕の「いい感じ」って、後から条件が出てくるんだな。
昼ごはんのときもそうでしたね。
うん。まず三行だけ書いてみる。長い説明を考えるより、できそう。
次に読むおすすめ2本
- [タイピングが速くなると仕事はどう変わる?|速さより先に整えたい入力の基本](https://keyboard-ai.com/typing-speed-work-input-basics) — 入力の速さと、AIへの指示文の関係を考える記事。
- [キーボードを変えると仕事は変わるのか|毎日のPC作業を見直す最初の一歩](https://keyboard-ai.com/keyboard-work-change-input-time) — 毎日の文章作成を見直す記事。
参考資料
- [Prompt engineering best practices for ChatGPT](https://help.openai.com/en/articles/10032626-prompt-ingineering-best-practices-for-chatgpt)(OpenAI Help Center)— 明確な依頼と、出力を見て調整する考え方を確認。
